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ICD-11 Chapter 07

睡眠障害の分類

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類 ICD-11 は、眠りの障害を6つのグループに分けています。厚生労働省が告示した日本語の名称を使い、それぞれがどういう状態を指すのかを、当社の言葉で解説します。

分類の版:ICD-11(2023年版)日本語名称の出所:2026年1月19日 総務省告示第11号公開日:2026年9月7日

このページの読み方

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類 ICD-11 は、眠りの障害を第7章「睡眠・覚醒障害群」としてひとつの章にまとめています。このページは、その章に載っている障害を一覧にし、それぞれがどういう状態かを平易な言葉で説明したものです。

日本語の名称は、厚生労働省の告示(2027年1月1日施行予定)の表記をそのまま使っています(難しい名前かと思いますが、日本における正式名称です)。

説明文は WHO の定義文の翻訳ではなく、当社が独自にまとめたものです。また、このページは診断のためのものではありません。眠りの困りごとが続くときは、医療機関に相談してください。

第7章の全体像

ICD-11 は、症状に応じて6つのグループに分けています。

ICD-11 では、別の原因がある場合でもその不眠が治療の対象になるなら、不眠障害に含みます。たとえば、うつ病や痛みのある病気を持っている人の不眠などです。

1

不眠障害群(7A00-7A0Z)

眠る時間も場所もあるのに、眠りに入れない・途中で目が覚める・朝早く目が覚めることが繰り返され、日中にも影響が出ている状態です。睡眠時間が短いだけの場合や、忙しくて眠る時間がない場合は含みません。

7A00
慢性不眠障害

眠りにくさが週に何度も(目安として3夜以上)、3か月以上にわたって続き、日中の暮らしに影響が出ている状態。ICD-11 では、他の病気や薬が背景にあっても、不眠そのものに手当てが必要なら、この診断を並べてつけられます。

7A01
短期不眠障害

同じような眠りにくさと日中への影響があるものの、続いている期間が3か月に届かないもの。仕事や人間関係の出来事、環境の変化がきっかけになることが多く、多くは落ち着きますが、慢性の形に移っていくこともあります。

7A0Z
不眠障害群、詳細不明

不眠障害と考えられるが、慢性か短期かを決めるだけの情報がない場合。

ICD-10 では原因が体にあるか心にあるかで分けていましたが、ICD-11 はこの区別をやめました。原因がどこにあっても、不眠への対応(認知行動療法など)は同じように効くためです。

2

過眠障害群(7A20-7A2Z)

夜はある程度眠れているのに、日中の眠気が強く、我慢しきれずに眠ってしまう状態です。眠気の見え方は似ていても仕組みが違うため、細かく分かれています。

7A20
ナルコレプシー

日中の強い眠気が長く続き、脳の中で目覚めを保つ仕組みがうまく働かなくなっている状態。眠りに入る直前や目覚めた直後に体が動かない、はっきりした夢のような映像が見える、といった体験を伴うことがあります。

7A20.0
ナルコレプシー、タイプ1

笑ったり驚いたりした瞬間に、体の力がふっと抜ける「情動脱力発作」があるか、脳の中で目覚めを支える物質(ヒポクレチン)が不足していることが確認されたもの。

7A20.1
ナルコレプシー、タイプ2

強い眠気はあるが、情動脱力発作がなく、ヒポクレチンの不足も確認されないもの。

7A20.Z
ナルコレプシー、詳細不明
7A21
特発性過眠症

少なくとも3か月にわたって日中の眠気が続くが、ナルコレプシーの特徴はなく、他の原因でも説明がつかないもの。夜の睡眠が長い、朝なかなか頭がはっきりしない、といった形で現れる人もいます。「特発性」は、いまの医学では原因を特定できないという意味です。

7A22
クライネ・レビン症候群

数日から数週間、ほとんど眠って過ごすような時期が繰り返し訪れ、その間は考え方や行動(食欲の変化など)も普段と違ってしまう。時期が過ぎると元に戻る。思春期に始まることが多い、まれな病気です。

7A23
身体疾患による過眠症

パーキンソン病や頭のけがなど、体の病気が原因になっている眠気。

7A24
薬物又は物質による過眠症

飲んでいる薬や、アルコールなどの物質が原因になっている眠気。やめたときの反動で出るものも含みます。

7A25
精神障害に関連する過眠症

うつ病や双極症などの精神の病気に伴って現れる眠気。

7A26
睡眠不足症候群

病気で眠れないのではなく、暮らしの都合で眠る時間を削り続けた結果として眠気が出ているもの。休みの日に長く眠ると眠気が消えるのが特徴で、「眠る時間を確保する」ことが解決になります。

7A2Y
その他の特定された過眠障害群
7A2Z
過眠障害群、詳細不明
3

睡眠関連呼吸障害群(7A40-7A4Z)

眠っている間の呼吸の問題です。「通り道がふさがる」「呼吸の命令が途切れる」「呼吸が浅すぎる」の3つの系統に分かれます。本人は気づきにくく、いびきや呼吸の止まりを同居の人が見つけることも多いです。

7A40
中枢性睡眠時無呼吸群

空気の通り道はふさがっていないのに、脳からの「息をしろ」という命令が眠っている間に途切れて、呼吸が止まる系統。

7A40.0
原発性中枢性睡眠時無呼吸

他の病気や薬で説明がつかない、成人の中枢性無呼吸。

7A40.1
乳児期の原発性中枢性睡眠時無呼吸

生まれてしばらくの赤ちゃんに見られる、原因の特定できない呼吸の止まり。

7A40.2
未熟性に伴う原発性中枢性睡眠時無呼吸

早く生まれた赤ちゃんで、呼吸を調節する仕組みがまだ育ちきっていないために起こるもの。

7A40.3
チェーンストークス呼吸を伴う身体疾患による中枢性睡眠時無呼吸

心不全や脳卒中などが背景にあり、呼吸が大きくなったり小さくなったりを繰り返しながら止まる、独特のパターンを示すもの。

7A40.4
チェーンストークス呼吸を伴わない身体疾患による中枢性睡眠時無呼吸

体の病気が原因だが、上のような波のパターンは示さないもの。

7A40.5
高地周期性呼吸による中枢性睡眠時無呼吸

高い山など空気の薄い場所で眠ったときに出る呼吸の乱れ。

7A40.6
薬物又は物質による中枢性睡眠時無呼吸

医療用麻薬(オピオイド)など、呼吸を抑える作用のある薬が原因のもの。

7A40.7
治療時出現中枢性睡眠時無呼吸

閉塞性の無呼吸を治療する装置(CPAP)を使い始めたあとに、かえって中枢性の無呼吸が目立ってくるもの。

7A40.Y
その他の特定された中枢性睡眠時無呼吸群
7A40.Z
中枢性睡眠時無呼吸群、詳細不明
7A41
閉塞性睡眠時無呼吸

眠って喉の筋肉がゆるむと、空気の通り道がふさがって呼吸が止まり、苦しくなって目が覚めかける。これを一晩に何度も繰り返すため、眠りが細切れになり、日中の眠気や高血圧などにつながります。大きないびき、呼吸が止まっていると人に言われる、朝の頭痛や口の渇きが手がかりになります。この群の中では最も多い障害です。

7A42
睡眠関連低換気又は低酸素血症群

呼吸が止まるというより、眠っている間ずっと呼吸が浅く、二酸化炭素が体にたまりすぎる(低換気)か、酸素が足りない状態が続く(低酸素血症)系統。

7A42.0
肥満低換気症候群

強い肥満があり、日中でも二酸化炭素がたまりやすくなっているもの。

7A42.1
先天性中枢性睡眠関連肺胞低換気

生まれつき、眠ると呼吸の命令が弱くなる、まれな遺伝性の病気。

7A42.2
視床下部機能異常を伴う非先天性中枢性低換気

幼い時期に急に体重が増え、ホルモンの調節や呼吸の調節に異常が出てくる、まれな病気。

7A42.3
特発性中枢性肺胞低換気

原因が特定できない低換気。

7A42.4
薬物又は物質による睡眠関連低換気

呼吸を抑える薬や物質による低換気。

7A42.5
身体疾患による睡眠関連低換気

肺や神経・筋肉の病気が原因の低換気。

7A42.6
身体疾患による睡眠関連低酸素血症

体の病気が原因で、眠ると血液中の酸素が下がりすぎるもの。

7A42.Y
その他の特定された睡眠関連低換気又は低酸素血症群
7A42.Z
睡眠関連低換気又は低酸素血症群、詳細不明
7A4Y
その他の特定された睡眠関連呼吸障害群
7A4Z
睡眠関連呼吸障害群、詳細不明

いびきや呼吸の止まりを指摘されたことがある場合は、不眠の対策を始める前に、まず医療機関で呼吸の状態を確かめてもらってください。

4

概日リズム睡眠・覚醒障害群(7A60-7A6Z)

体内時計の刻む時間帯が、学校や仕事など社会の時間帯とずれている状態です。眠りの質そのものではなく、ずれの向きと形で分けられています。

7A60
睡眠・覚醒相後退障害

体の時計が社会の時間より遅い側にずれていて、夜中を過ぎないと眠れず、朝は起きられない。自由に眠れる休日には長くよく眠れるのが特徴で、10代から20代に多く見られます。「夜型」の極端な形と考えると分かりやすいです。

7A61
睡眠・覚醒相前進障害

逆に時計が早い側にずれていて、夕方から強い眠気が来て、まだ暗いうちに目が覚めてしまう。年齢を重ねた人に多い傾向があります。

7A62
不規則睡眠・覚醒リズム障害

1日の中で眠りが細かく分かれ、はっきりした「夜の眠り」がなくなっている状態。認知症のある人や、神経の発達に特徴のある子どもで見られることがあります。

7A63
非24時間睡眠・覚醒リズム障害

体の時計が24時間に合わせられず、眠る時刻が毎日少しずつ後ろへずれていく。光が時計を合わせる主な手がかりなので、目の見えない人に多いことが知られています。

7A64
概日リズム睡眠・覚醒障害、交代勤務障害型

夜勤や交代勤務で、体の時計と働く時間帯が合わなくなり、眠るべき時間に眠れず、働く時間に眠気が出るもの。

7A65
概日リズム睡眠・覚醒障害、時差障害型

飛行機で複数の時間帯を越えたあと、体の時計が現地時間に追いつくまでに起こる眠りの乱れ。いわゆる時差ぼけです。

7A6Z
概日リズム睡眠・覚醒障害群、詳細不明
5

睡眠関連運動障害群(7A80-7A8Z)

眠る前や眠っている間に、体の一部が意思と関係なく動き、眠りを妨げる状態です。単純な動きの繰り返しが中心で、次の睡眠時随伴障害群のような複雑な行動とは区別されます。

7A80
レストレスレッグス症候群

じっとしていると脚に「動かさずにいられない」むずむずした感じが出て、動かすと楽になる。夕方から夜に強まるので、寝つきを妨げます。鉄分の不足や妊娠、腎臓の病気と関係することがあります。日本語では「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。

7A81
周期性四肢運動障害

眠っている間に、脚(ときに腕)がリズミカルにぴくっと動くことを繰り返し、それが眠りを浅くしていることが検査で確かめられたもの。本人は気づかず、同居の人が見つけることもあります。

7A82
睡眠関連下肢こむらがえり

眠っている間や寝つく前に、ふくらはぎや足の筋肉が急に強くつって痛み、目が覚めてしまうもの。

7A83
睡眠関連歯ぎしり

眠っている間に歯をこすり合わせたり、強く噛みしめたりする。歯のすり減りや顎の痛み、朝の頭痛につながることがあります。

7A84
睡眠関連律動性運動障害

寝つく前や眠っている間に、体を揺らす・頭を打ちつけるなど、同じ動きを繰り返す。小さな子どもによく見られ、多くは自然に消えます。けがや日中への影響がある場合にだけ、障害として扱われます。

7A85
乳幼児期の良性睡眠時ミオクローヌス

赤ちゃんが眠っている間に手足がぴくぴく動くもの。起きているときには起こらず、発達にも影響しない、心配のいらないタイプです。けいれんと見分けることが大切です。

7A86
入眠時固有脊髄ミオクローヌス

寝つこうとしているときに、お腹や胴体から始まって手足へ広がるような、急な大きい動きが出て、眠りに入るのを妨げるもの。

7A87
身体疾患による睡眠関連運動障害
7A88
薬物又は物質による睡眠関連運動障害

一部の抗うつ薬や抗ヒスタミン薬などによって、脚の動きやむずむず感が出てくるもの。

7A8Y
その他の特定された睡眠関連運動障害群
7A8Z
睡眠関連運動障害群、詳細不明
6

睡眠時随伴障害群(7B00-7B0Z)

眠っている間や、眠りと目覚めの境目で、望まない行動や体験が起こる状態です。深い「ノンレム睡眠」から起こるか、夢を見る「レム睡眠」から起こるかで大きく分けられています。

7B00
ノンレム睡眠からの覚醒障害群

深い眠りから完全に目覚めきらないまま、体だけが起き上がって行動してしまう系統。眠りの前半に多く、本人はほとんど覚えていません。子どもに多く、成長とともに減っていきます。

7B00.0
錯乱性覚醒

目は開いているのに、ぼんやりして受け答えがちぐはぐになる。ベッドから出ることは少ない。

7B00.1
睡眠時遊行障害

眠ったまま起き上がって歩き回る、いわゆる夢遊病。転落やけがの危険があります。

7B00.2
睡眠時驚愕症

突然、叫び声とともに起き上がり、強い恐怖の表情を見せる。声をかけてもなだめられず、翌朝は覚えていない。夜驚症とも呼ばれます。

7B00.3
睡眠関連摂食障害

眠ったまま台所へ行き、食べ物を(ときには食べ物でないものも)口にしてしまう。翌朝の記憶はあいまいで、けがや体重増加につながることがあります。

7B00.Y
その他の特定されたノンレム睡眠からの覚醒障害群
7B00.Z
ノンレム睡眠からの覚醒障害群、詳細不明
7B01
レム睡眠関連睡眠時随伴症群

夢を見るレム睡眠に関わる系統。眠りの後半、明け方に多く、夢の内容を覚えていることが多いのが特徴です。

7B01.0
レム睡眠行動障害

レム睡眠中は本来、体の力が抜けて動けないはずなのに、それが外れて、夢の内容どおりに叫んだり殴ったり蹴ったりしてしまう。本人や隣で眠る人がけがをすることがあります。中高年に多く、あとになって神経の病気が見つかることがあるため、専門機関での評価が勧められます。

7B01.1
反復性孤発性睡眠麻痺

寝入りばなや目覚めの直後に、意識はあるのに体が動かない状態が繰り返し起こる。いわゆる「金縛り」で、ナルコレプシーなど他の原因がない場合にこの名前がつきます。

7B01.2
悪夢障害

強い恐怖や不安を伴う夢を繰り返し見て、目が覚めたあともつらさが残り、眠ること自体がこわくなる。心の傷となる出来事のあとに起こることもあります。

7B01.Y
その他の特定されたレム睡眠関連睡眠時随伴症群
7B01.Z
レム睡眠関連睡眠時随伴症群、詳細不明
7B02
その他の睡眠時随伴症群

ノンレム・レムのどちらとも決められない系統。

7B02.0
頭内爆発音症候群

寝入りばなや目覚めの際に、頭の中で大きな破裂音や閃光を感じる。痛みはなく害もないのですが、驚いて眠るのがこわくなることがあります。

7B02.1
睡眠関連幻覚

寝入りばなや目覚めの際に、人や動物などがはっきり見える体験。夢との違いは、目覚めていると感じている中で起こることです。

7B02.2
身体疾患による睡眠時随伴障害
7B02.3
薬物又は物質による睡眠時随伴障害

一部の睡眠薬で、眠ったまま食べる・歩くといった行動が出ることが知られています。

7B0Y
その他の特定された睡眠時随伴症群
7B0Z
睡眠時随伴症群、詳細不明

ICD-10 から何が変わったか

ICD-10 では、睡眠の障害は神経系の章「G47 睡眠障害」と精神の章「F51 非器質性睡眠障害」の2か所に分かれていました。ICD-11 での変更点は次の4つです。

  • ◆2つの章を合わせて第7章「睡眠・覚醒障害群」として独立させた。
  • ◆不眠を「体の原因」「心の原因」で分けるのをやめ、慢性か短期かという期間で分けた。
  • ◆睡眠医学の専門分類 ICSD-3(米国睡眠医学会)とおおむね同じ並びになった。
  • ◆日本では2026年1月に告示され、2027年1月1日から統計に使われる予定。

出典と注意

このページは、次の一次資料をもとに作りました。分類の正確な内容を確認したい方は、必ずこちらをご覧ください。

  • ◆WHO ICD-11 ブラウザ(英語):https://icd.who.int/browse/2023-01/mms/en。各コードの定義(Description)は英語でここに載っています。
  • ◆厚生労働省「疾病、傷害及び死因の統計分類(ICD-11準拠)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/toukei/goriyou/sippei.html。2026年1月19日 総務省告示第11号、2027年1月1日施行予定。このページの日本語名称はここに掲載された基本分類表の表記に合わせています。
CITATION

International Classification of Diseases, Eleventh Revision (ICD-11), World Health Organization (WHO) 2019. https://icd.who.int/browse11. Licensed under the Creative Commons Attribution-NoDerivatives 3.0 IGO licence (CC BY-ND 3.0 IGO).

本ページの説明文は当社が一次資料を読んでまとめたもので、WHO の定義文の翻訳ではありません。WHO と厚生労働省は本ページを承認しておらず、当社と提携関係にもありません。誤りを見つけた方は、お問い合わせからお知らせいただけますと幸いです。